三年目の社内研修で出された課題図書、
「ワーク・シフトー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>」
を、このGWに読み返してみました。
コロナウイルスの流行によって働き方が大きく変わる今だからこそ、
改めて読んでみてよかったと思いますので、
概要と感想を記事にしてみました。
「ワーク・シフト」とは
本の正式名称は、
「ワーク・シフトー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>」ですが
「ワーク・シフト」といえば通じるほど有名なビジネス書です。
著者のリンダ・クラットンはロンドン・ビジネススクールの教授です。
英タイムズ紙「世界のトップビジネス思想家15人」や
フィナンシャルタイムズ「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」、
英エコノミスト誌「仕事の未来を予測する識者トップ200」などに
名を連ねています。
それっぽく書きましたが、つまりは世界的に有名な経営思想家です。
そんなリンダ・クラットンが執筆したワークシフトは、
これからずっと「食えるだけの仕事」でいいですか?
Amazon書籍ページより
全世代必読、「働き方」の決定版。
否応なくグローバル化されるビジネス環境において、誰と、どこで、どうやって働きたいか。
これからはそれを主体的に選ぶことが可能な時代である。
人口、テクノロジー、エネルギー、都市化など、あらゆる角度から近未来の働き方を予測し、
複数の選択肢を提示した話題の書。
Amazonの書籍ページにもあるように、
働き方を主体的に考えることを勧める本です。
個人的にも興味深い内容ですし、
コロナ真っただ中の世間的にも注目度の高いトピックです。
ただ、書店で手に取ったことがある方もいるかもしれませんが、
かなりボリュームあり。全402ページ。
普段はkindle派の私が、
「家にあったらデキる人っぽい」という理由で書籍を購入しましたが
この分厚さです。
ちょっと読む気が失せますよね。
ただ、内容はとても良かったので、
これから読もうとしている人が概要を知って理解しやすくすること、
まだ手に取ったことのない人が興味を持ってくれること、を目的に
概要と感想をシェアしたいと思います。
「ワーク・シフト」の概要
このボリュームの多い「ワーク・シフト」を読み進めるうえで、
①なぜ働き方を変えなければいけないのかという前提
②どのように働き方を変えるべきなのかという結論
この2点を抑えておくことにより、
かなり読み進めやすくなると思います。
なぜ働き方を変えなければいけないのか
なぜ働き方を変えなけれないけないのか、
それはこれからの10年で起こる下の5つの変化は
人の生活や仕事に大きな変化をもたらすからです。
テクノロジーの進化
産業革命以降の経済成長を担っているテクノロジーの進化はまだ序盤にあり、
今後さらに仕事の在り方や人同士のコミュニケーション方法に
大きな変化をもたらすと思われる。
グローバル化の進展
かつての地域ごとに区切られた市場、という概念は変わり、
地域間の貿易ネットワークにより物資をやりとりする時代が来ている。
それに加え、今後は情報のやり取りも活発になっていき、
ビジネスをする上でのグローバル化も加速していくと思われる。
人口構成の変化と長寿化
ビジネスで決定権を持っている世代が変わってくる。
現在はベビーブーム世代が重役ポジションにいるが、
そこにX世代/Y世代が進出することで変化が起きると考えられる。
社会の変化
食事や睡眠などの人間の根本は変わらないとしても
前述の変化により人間の行動は大きく変わると思われる。
エネルギー・社会問題の変化
エネルギーや環境への影響はこれまでも取り上げられる中、
現在1個人/1企業がそこに対して対策を講じるような行動は見られないが、
今後は世界的な課題として掲げられるようになる。
本の中では、実際にどんな事象のことを指しているのか、
合計32の具体例もあるのでよりイメージがつくと思います。
第一のシフト:ゼネラリストからスペシャリストへ
AIの進歩など、テクノロジーの進化によって
誰でもできる仕事はとって変わられます。
つまり、一般的な知識は価値を持たなくなります。
そのような世界で市場価値を高めるためには
未来の世界でもニーズのあるスキル/職種に特化して
高度な専門知識を身に着けること、
付けた専門知識を武器に人材市場で自分の価値をアピールすること、
(本の中では「セルフマーケティング」と表現)
この2点が重要とされています。
第二のシフト:競争ではなく協力で起こすイノベーションへ
インターネットを中心としたテクノロジーの進化により、
人と人のコミュニティを築く手段が飛躍的に拡大します。
専門知識を磨けばよいとされる一方で、
点の専門知識だけでは世の中に大きな価値をもたらすことは難しい、
そこで多くの人と能力/知識/ノウハウを統合していく必要があります。
ただ多くの人と人脈を築けばよいというわけではなく
下記の3種類のコミュニティを築くことに意味があるとされています。
「ポッセ」
志を共有できる、頼れる仲間
「ビッグアイデア・クラウド」
インターネット上で多様な情報収集/発信しあう仲間
「自己再生コミュニティ」
支えとなり安らぎを与えてくれる、親密な仲間
これらのコミュニティから大きなエネルギーを得ることで、
孤独を逃れ意義のある仕事、仕事以外も含めた生活になっていくとされています。
第三のシフト:大量消費よりも情熱を持てる時間へ
お金のために働いて稼いだお金で人生を充実させるのが
現在のスタンダードですが、
現在時間をかけて解決できることは
テクノロジーの進化によって大体のことは解決できるようになります。
また、イノベーションを起こすためのコミュニティを築くには
心のエネルギーや活力が必要不可欠です。
お金のために消耗することのメリットは薄れるため、
情熱を持てて充実感や自己成長を感じられる仕事を選ぶことが
重要とされています。
「ワーク・シフト」の感想
あくまで個人の感想であることは了承いただきたいです。
勝手に使用いただいてもかまいません(笑)
メンバーシップ型雇用の危うさ
日本のメンバーシップ型雇用は危ういなと、思いました。
まず人を採用して、採用した人に対して仕事を割り振っていく。
企業の中でゼネラリストとなるために、
総合職は数年に一度のジョブローテーション、転勤もスタンダート。
これって第一のシフト(ゼネラリストからスペシャリストへ)と超真逆です。
経団連が近年進めているジョブ型雇用は
どんな背景を踏まえてのものなのだろうか、という疑問も湧きました。
簡単に調べる限りは、専門性の高い人材を
高い給料で採用しづらいといった課題を解決するためだそうです。
専門性の高い人材が自らの価値を正しく評価されるようにする、
と言い換えると第一のシフトと通ずるものがあるのかなと。
所属/場所に捉われないコミュ力の大切さ
専門知識による個人の価値が問われること、
その上で協力しあうコミュニティ形成が問われる、という内容を見てから
今現在のことを考えてみると、、、
コロナのおかげ様で、
会社のオフィスという共通の場所に集まらなくても
コミュニケーションが取れて必要な仕事は進んでいくということを
実感しているタイミングでもあります。
コロナは自粛ばっかりで悔しいですが、
この<シフト>においては良いきっかけとなるのかもしれません。
この期間に場所に捉われないコミュニケーション力を磨いて、
来るべき未来に備えて個で価値を発揮できるような
専門性も身に着けて行きたいですね。
理想と現実を行き来しながら読みたい、「ワーク・シフト」
総じて面白くて、呼んでいて様々な危機感を感じました(笑)
本に書かれている<シフト>ができたらいいなと思いつつも、
スキル/能力面でまだ未熟で自身は持てないし、
未来は未来で今は今、今すぐ<シフト>できても今の社会に合わないと思うこともあります。
理想と現実を行き来しながら読み、
来たる未来に備えて<シフト>へのモチベーションを上げていくのがよいと思います。
すべてを読まなくても十分理解できると思います。